高田崇史『QED 東照宮の怨』(4)

「真実ぅ?」中込は、大笑いした。「じゃあ、我々は、これから後生大事に、それを守っていかなくちゃあならんだろうなあ」
「護る?」今度は崇が鼻で笑った。「酷い驕りだ」
「なにい!」
「真実は、それだけで真実です。誰の庇護も必要としませんよ。自惚れてはいけません」

数少ないミステリィ読みの友人からずいぶん前に薦められていた本。妙に巡り合わせがわるく、他のQEDシリーズをすべて読んだ後に読むことに。QEDシリーズのなかであえてこれを推した意図は汲み取れないものの、まあ、他のQEDシリーズと同じように楽しめた(主として、奈々の「まあ!」をはじめとする、崇のことばに対する登場人物の驚きっぷりの楽しさ)。今回の歴史ネタは、南光坊天海によって仕掛けられた日光東照宮まわりの呪。特別なガッツポーズはないのに、何だか読んでしまうシリーズ。