古処誠二『フラグメント』(1)

返す言葉に詰まると、小谷はすぐに黙りこむ。このときもトイレを認めるとも認めないとも言わなかった。
「おかしなマネするなよ」
「お前がおかしなマネしてんだよ」

一冊通して見るとべつにつまらないというわけでもないのだけど、これといってガッツポーズするところがない感じ。ミステリィを読み始める前にミステリィに対して抱いていたイメージにも似た地味さ。一番萌えたのは、東海大地震で密室環境となったマンション地下駐車場、という舞台。