清涼院流水『コズミック 世紀末探偵神話』(4)

「−−なんなら賭けてもいい。どうですか、総代?」
城之介の挑発に鴉城は応じなかった。腕組みをし、苛立ちを隠さずに言った。
「その賭けは不成立だ、龍宮。それは真実だからな」

ブックオフの105円棚で回収。楽しくないことはないけど、ガッツポーズは(京極夏彦クラスのページ数のわりに)少なめ。希薄な感じ。全体の約1/3に渡って延々と繰り返される(広義の?)密室殺人の途中で、何度もゴミ箱に投げそうになる。それ以降は、探偵探偵したひとたちが推理したり、自らについて考えたり。終盤は天才天才したひとたちが勝手に事件の真相にたどり着く。解決編は特にどかーんと来るものもなく、話中の盛り上がっているらしい感じとはうらはらに、完全に置いていかれてしぶしぶついてゆく愚読者に成り果ててしまう。「ああ、この台詞、『かっこいー』て思わせたいんだろうなー」みたいなついてゆけない感覚をおぼえてしまった時点で、その本は投げ捨てるべきなのかも知れない。もっと厚い流水本も105円で同時回収したのだけど、こちらを読むのは延期。どうしても「ページ数のわりに」という札がついてしまう。