森博嗣『ダウン・ツ・ヘヴン』(4)

「勝てると思う、というのと、五分五分、というのと、どっちが本当? だいぶ食い違っていると思うけど」甲斐は真剣な顔に戻った。まだ僕を見据えたままだ。
「五分五分だったら、勝てます」僕は答える。
「意味がわからない」彼女は首をふった。
「客観的なデータが五分五分の条件を、すべて勝ってきた、だからこそ、生き残っているんです」僕は言った。「五十パーセントも可能性があるならば、必ず勝てます」

スカイ・クロラ》シリーズ第3作。おはなしとしては第2作『ナ・バ・テア』の続きで、草薙水素出世譚。ジャンルはSF(戦闘機もの)。第1作『スカイ・クロラ』ばりのジョークを期待するとひらりとかわされるが、まあ、それなりに小気味良い言い回しあり。わるくない。きれいな装丁。