北村薫『盤上の敵』(4)

「……だとすると、鳥以外に食べられると困るから、……動物を殺してしまうんですか」
「そうかも知れない」
「利己主義ですね」
先生は、ふん、と笑って、
「まあ、人間に比べたら、どうということもないだろう」

ほのぼのばかりが北村本でない。穏やかな文体の中の悪意が、やたら気分をわるくさせてくれるすてきさ。騙されてうれしい。