森博嗣『τになるまで待って』(6)

「貴女って、いちいち言葉に刺があるの」
「いえ、客観的に……」
「やっぱり、家族の愛情が注がれなかったことがいけなかったのかしら」
「そう、充分に四十代に見えます」
「まあ……」叔母はテーブルに両手をつく。「私ね、これでも、三十八歳で通ってるのよ」
「え、どこを通っているの?」
「ちらほらと、いろいろなところをですよ」
「それって、詐称で訴えられません?」

Gシリーズ3作目。睦子叔母様と萌絵の会話に弱いので、序盤からめろめろに。煽りのわりに館もの属性は低めだろうか。事件はこれでちゃんと解決されたといえるのだろうか? されど会話萌え読者としては、いまのところGシリーズ中では最も楽しめた気がする。真賀田四季サーガのための布石が邪魔にも感じられるが、シリーズの最後にドッキリを入れてもらえるならば、目を瞑れる範囲か。