北村薫『スキップ』(9)

「――わたしは、あなたにとって、お話であり、絵であり、音楽。――そして風なのよ」
新田君。あなたも、わたしにとってそうなのよ。
「――愛してちょうだい。好きになってちょうだい。ありがとうというわ。でも、でも――手をつなぐことは出来ない」

ミステリィ。微SF? 《時と人》三部作、第一弾。17歳の女子高生が25年間の時を素っ飛ばして高校教師に!と書くと酷く陳腐になるのだが、何だか震えるほどに感動?してしまった。これが感動? 相変わらずの、きれいな言葉遣い、きれいな思考、きれいな感想。これだから北村本はやめられない。