西澤保彦『依存』(2)

「とりあえずオレが勝った――そういう形を整えてあげればいいの。こちらの被害は最小限にとどめる形で、ね。きっと彼、思い切り破壊衝動を満足させられて、せいせいしていることでしょうよ。せいせいした瞬間にカノちゃんに対する執着も消える――要するに、そういうこと」
「そうかな、はたして」異を唱えたのはタックだった。「それはいささか、未成熟な男の幼児ぶりを過小評価する発言だと思うけど」

匠千暁シリーズ第6作。シリーズもの好きだから何とか読み続けていられた匠千暁シリーズであったが、ここに来て大ガッツポーズ。ひとつの謎といくつかの謎が交互に続き、最終的に同じ現象に収斂する快感。ウサコ視点で書かれるタック・タカチについての語りも良い具合に布石となり、色々と高まる『依存』ぷり。これまでに読んだ西澤本では最も頁数が多いが、終始だれずに読むことができた。