高里椎奈『銀の檻を溶かして 薬屋探偵妖綺談』(3)

「一時休戦だ。出かけよう」
「−−−−桜庭さんのところですか」
「うん、手土産を忘れるな。あいつは何故か僕の顔を見ると、十回に十回機嫌を損ねるんだ」

メフィスト賞漁り。奔放で行動は読めないが知能が高くてキングなひと、クールで敬語で長身で理系メガネ系のひと、情熱一直線で純真涙なひと、の美少〜青年3人組、という浅ましいほどに狙われた感のある属性分散にプラスして、彼等は妖怪、という、何だか「漫画でやれば良いのになあ」といった設定。流水本ほどではないにせよ、狙って滑った感じの会話。作家さんの入り口が見えるよう。妖怪という設定は、今ひとつガッツポーズな生かされ方がなかった。たまに寒気を覚えるが、しかし、投げるほどわるくもない、かも。基本的には楽しくないのだが、検索するとシリーズを追うごとに良くなるようなことを書いているところもあるので、この本と同じくブックオフの105円棚で見つけたら回収する。かも。