2005-11-12 北村薫『リセット』(3) 本 「あれはよかったね」 ぽつんと一言なので、わたしが付け足しました。 「目から鱗?」 優子さんは、真新しいセーラー服の似合う、きつめの顔をこちらに向けました。 「鱗−−鱗が落ちるというより、《鱗があるかも知れない》と教えてくれたん。そこが尊いんやないかな」 《時と人》3部作、第3弾。《時と人》3部作はすべてSFに属する現象が物語を形作っているので、それを覆う北村本空気で楽しめないと、きびしいことになりそう。やってることは、感動のアンビリバボー。