加納朋子『ななつのこ』(3)

「さあ、そろそろ僕らも退散しないと」
 快活に瀬尾さんが言った。
「そうですね。私たちにできることはもうないもの。結局、世の中なんて、うまくいくか、いかないかのどっちかよ。まあ統計学的にみて、五十パーセントはうまくいくわけですよね。四捨五入しちゃえば、十割だわ」

ミステリびとに北村薫系として薦められていた加納本、初挑戦。短編7本。主人公は文系女子大生、事件は日常系、解決は神が一閃。たしかに北村薫の《円紫さんと私》シリーズと似てはいるし、文体にも似たようなやわらかさがある。そのわりにはいまひとつ大きな盛り上がりを感じられないまま読み進めることになったのだが、第6話・第7話まで来たところでガッツポーズ。