加納朋子『ささら さや』(1)

いつだったか俺が、「山田の授業、つまんねーよなあ。俺なんか、気がついたらいつも寝てるもん」と言ったら、「『気がついたら寝ていた』というのは表現として明らかに矛盾しているな。『気がついたら起きていた』と言うべきだ」などとたしなめられたものである。

開始5ページでシングルマザーとなるサヤ。悲壮感があるようでないような、何とも言い難いもやもやが、良い。業物級な『泣ける2ちゃんねる』。家族愛寄りな『ゴースト ニューヨークの幻』? 軽くミステリィ要素はあるのだけど、別にミステリィ棚に並べなくても良いし、と思った。