霧舎巧『ラグナロク洞 《あかずの扉》研究会影郎沼へ』(1)

「四角い紙に書かれた時点で、ぼくたちは視点を固定されてしまうんだ。それが渋谷進平の仕掛けた罠だった。いや、彼に悪意はないから《遊び》だったと言ったほうが正しいかもしれないが」

《あかずの扉》研究会シリーズ、3作目。これまで後動さんに隠れて今ひとつぱっとしなかった「名探偵」鳴海さんがばりばりと働くのは楽しいのだが、もう、何というか、霧舎巧ミステリィ好きすぎて、ついてゆけなかった。名前に謎が!とか、ダイイングメッセージが!とか、あまり興味の持てなさ。本物のミステリィ読みには、こういうのがたまらないのだろうか。とはいえ買ってしまった以上はと、次作を読みはじめるのであった。