加納朋子『月曜日の水玉模様』(3)

「馬鹿みたい。だってそうでしょ? そんなこと言うくらいなら、つきあう前に彼女に聞けば良かったのよ。『あなたは素直で従順でかわいいですか』って。きっと彼女なら、その正反対だって答えたでしょうよ」やや辛辣にそう言い放ってから、陶子は肩をすくめた。「これは想像なんだけど、世の中には萩君みたいに心の広い男性ばかりじゃないってことが、たぶん原因なんだと思う」

日常の謎系連作短編7本。決してわるい意味でないある種の軽さが、加納本の良さなのだろうか。長編読んでみたいなあ、と思わないのは、きっと短編の利がうまく生かされているからなのだろう。