伊坂幸太郎『陽気なギャングが地球を回す』(7)

「慎一、行こう。つべこべ言っている響野さんなんて放って、僕たちだけで行こう」久遠は出口に足を踏み出す。「まったく非協力的なんだからさ。僕が世の中で許せないものはね、料理に入ったパイナップルと、非協力的な大人と、それから『さっきのワースト三と違うじゃないか』って指摘してくる人だよ」

明るすぎる装丁がこわくて書店では避けていたのだが、ブックオフで見つけて即買い。ウィットに富んだ会話、話のテンポのよさ、終盤の収束展開、そして何よりすべての基盤となる魅力的なキャラクタづくり(それぞれ、何と愛らしく、何と小憎たらしいことか)。隙のない娯楽小説。新品で買っても全然損しなかったな。