貫井徳郎『プリズム』(1)

nksn2006-03-31

「よっぽどの覚悟なんだな。でも、そんなに思いつめても辛いだけじゃないか。何しろ、お前には関係のないことなんだから」
 関係なくはない。おれは死んでいる美津子を発見したのに、自分の保身を考えて警察に通報もせずに逃げたのだ。せめてこれくらいのことをしなくては、瞼から美津子の死に顔が消えてくれない。だがそんなことを佐倉に告げるわけにはいかなかった。
「関係なくはないんだよ。美津子はおれの――女王だったんだから」

ひとりの人間の死をめぐり、4組の探偵役が正解を求めて考えるおはなし。疑いの輪。ミステリィミステリィしているなあ。貫井本初挑戦は、まあまあ楽しめた。ガッツポーズどころは少ないけど。