坂木司『仔羊の巣』(1)

「よろしくね」
 にっこりと差し出された手は、どこまでも白い。爪はマニキュアで美しく光り、指は細くしなやかだ。利明くんは、その手を本当に握ってもいいものか、思案しているようにも見えた。
「見かけにだまされんな。そいつは、黒豚を投げつける女だぜ」

《ひきこもり探偵》シリーズ2作目。短編3本。初っ端からBL風味におわせてるなあと思っていたら、坂木・鳥井ゲイパートナー説が出てきてちょっと笑えた。少し会話、感動とともにまとめ、少し会話、感動とともにまとめ、みたいな繰り返しにだれることもあるが、感動屋視点の日常系ミステリィとしての安定、とも。事件解決→犯人がパーティに加わる→ちょっとキャラ増えすぎ?感。鳥井の王様ぷりは前作『青空の卵』ほど発揮されず。