舞城王太郎『阿修羅ガール』(3)

つーかそれ、「だけ」じゃないし。私の大事な左腕が。ご飯を持つ手が。これからご飯を食べる時にはマネキンとかバービードールみたいに左腕を肩からスポンと切り離して自分の部屋のベッドの下にでも隠して右腕だけでテーブルにつきたい。私の大事な左腕は、佐野明彦のせいで汚れてしまった。

三部構成の第一部は、舞城ノリとして楽しめたものの、あとは辛め。第二部・第三部は読み直す気にならなさ。独り言のような思考(思考を文書に落とすと一筆書きになり、一筆書きだと独り言に見える、のか)が勢いよく続くのは多少気持ちよいが、『世界は密室でできている。』のような冗談会話を期待してしまう。ひとりでも会話してるけど。