鯨統一郎『すべての美人は名探偵である』(2)

「そうですか。でも食事だけじゃなくてシェイプアップの知識は持ってないでしょう」
「それは末安君に任せる」
「末安幸奈ですか?」
「そうよ」
信じられない発想だ。幸奈はガリガリの躰をしている。
「彼女、体型は貧弱に見えるけど、貧弱だからこそ、シェイプアップされたボディに憧れてるんだって。だから日夜、研究を続けてるらしいわ。でもやっぱり実行できない」
「ボクたちの学業成績が今ひとつの理由が判ってきたような気がします」

邪馬台国はどこですか?』で空回りを続けた早乙女静香が、アリバイ崩しの桜川東子と組んで一暴れ。《ずいずいずっころばし》に隠された徳川家光の謎。ガッツポーズする台詞は少ないが、一冊通して見れば、結構楽しめた気がする。良い意味で軽薄なキャラクタがメインなだけに、あまり考えず、ただ感覚で読めたのだろうか。