倉地淳『占い師はお昼寝中』(1)

「いやあ、参った参ったーー電車ってのに半年ぶりに乗ったらへとへとだよ。くたびれる乗り物だね、あれは」
 ぼさぼさの蓬髪に手を突っ込んでぼりぼりやりながら、開口一番、恐ろしく浮世離れしたことを云っている。
「何悠長なこと云ってるのよ、普通の人は毎日乗ってるんだよーーそれよりお葬式はどうだったの」
「うん、ほどほどに湿っぽくて適度に賑やかで、いい式だったよ、故人の人柄が偲ばれるね。僕の時もあんな風にしてもらいたいもんだーーほら、これお土産、葬式まんじゅう」

占い所に持ち込まれる客の悩みを、ものぐさな辰寅叔父さんがインチキな御託で解決。ガッツポーズどころは少ないものの、軽く読める。