北村薫『月の砂漠をさばさばと』(3)

お母さんは、あの時、最期に真剣な顔になりました。名字の方が替わるということについて、考えてくれたのです。
お母さんの心の中に浮かんだのが、どんな思いだったか、さきちゃんには、はっきりとしません。でも、お母さんが何かを考えたーーということだけは分かります。

小学3年生のさきちゃんとそのお母さんの、日常しっとり掌編12本。ひとりでごはんを食べながら読んでいると、幸せと哀しみを同時に感じてしまう。解説の「日常は意識して守護されなければならない。」という記述にガッツポーズ。