加納朋子『いちばん初めにあった海』(3)

nksn2006-02-16

「お孫さんなんていたんですか」
 ぼくは必要以上に大声を上げた。血のつながり云々を抜きにしても、サカタさんの周りに女っ気なんて、それこそ煙ほども感じたことがなかったからだ。
「いちゃ悪いか。一人娘の子だよ」
 相手はじろっとぼくをにらみつけた。
「そうするとその、お孫さんをお生みになったお母さんの、そのまたお母さんという方がいるわけですよね?」

中編2本。少し混沌としたところはミステリィ要素として受け入れていきたい。話がうまい具合にリンクするところは、加納本らしい。しかしま、読みやすさやほのぼの具合に慣れた加納本スキーとしては、ややとっつきにくさ。