森博嗣『εに誓って』(2)

「はい」電話に出た声は明らかに国枝桃子だった。
「もしもし、先生、夜分にどうもすみません、西之園です」
「うん、どうしたの?」
「実は、バスジャックがあったんです。ご存じですか?」
「いいえ。バスジャック?」
「今も、テレビの臨時番組でやっています。そのバスに、山吹君と加部谷さんが乗っているんです」
「乗客として?」
「え? ええ、もちろん」

Gシリーズ、第4作。相変わらずシリーズ謎は謎のままに、海月君は海月君のままに。いまのところGシリーズ犯人キャラが捨てキャラ揃いなのは、バックにそびえる真賀田四季軍の無気味さに目を持っていかせる仕掛けなのだろうか。そろそろ中ボスが欲しい。ことばあそびは、やや弱め。あと、本の締めに笑いを誘うオチを持って来るのて、森本では珍しいかも。